たくさんある美白のための化粧品の中から、ひとつを選ぶのは、とても難しいように思えます。
使いごこちや価格も大切ですが、なによりも大事なのは、「美白成分を含んでいる」ということです。
あたりまえのようですが、なかには美白成分を満足に含んでいなくても、「ホワイト○○」のような名前をつけて、美白化粧品のようなイメージで売られているものもあります。
「よくわからないけれど、美白っぽい化粧品を使っています」という人が多いのですが、それでは確実な効果は期待できませんので、注意しましょう。
そこで、美白成分配合の化粧品についてお話します。
<目次>
・美白成分でシミを消す【メラニン色素の量を減らす働きをする美白成分】
・肌で試しながら自分に合う美白成分を選ぶ
・美白成分の種類
美白成分でシミを消す【メラニン色素の量を減らす働きをする美白成分】
そもそも、美白成分とはどんなものなのでしょうか。
メラニン色素がつくられる際に肌の中で起こる反応を、どこかで抑えるものが美白成分です。
つまり、メラニン色素工場の歯車に、どこかでブレーキをかけるものと思ってください。
どの歯車に作用するかで、美白成分は以下のように分けられます。
●チロシナーゼ酵素を阻害するもの
チロシナーゼという酵素の働きを邪魔します(イラスト参照)。現在市販されている美自化粧品のほとんどが、これに該当します。
●エンドセリンを阻害するもの
エンドセリンという情報伝達物質の働きを邪魔します。
●プロスタグランジンを阻害するもの
メラニン色素生成に関わる表皮伝達物質のひとつであるプロスタグランジンを抑制します。
●そのほか
メラニン色素をつくる際に働くDNAに働きかけるものや、チロシナーゼ酵素自体がつくられるのを防ぐなど、いろいろな段階で効果を発揮する美白成分が開発されています。
ここでわかるように、美白成分というものは、これからつくられるメラニン色素を減らすように働くものです。
今、肌にあるメラニン色素を分解するわけではありません。
したがって、できてしまったシミを消すというよりは、これからできるシミを予防するという働きのほうがメインになります。
肌で試しながら自分に合う美白成分を選ぶ
アルブチン、油溶性甘草エキスなど、美白成分にもいろいろ種類があります。
なかでも、厚生労働省が医薬部外品として効果を認めたものは9種類あります。
また、認可成分以外にも、化粧品には多くの美白成分が使われています。
メーカー独自に開発した成分も含めると、無数に出回っているのはよく知られていることでしょう。
そして、それらの美白成分を、通常はブレンドした形で美白化粧品に配合しています。
これらのうち、どれがとくに効果的とか、どれが強いなどというものではなく、人によって効果の出方は違います。
また、肌に合う、合わないもあり、合わない場合はかぶれることも、もちろんあります。
そのため、自分の肌で試しながら選んでいくしかありません。
ちなみに、美容皮膚科でよく使われるのは、ビタミンC誘導体、カモミラET、油溶性甘草エキスです。
なお、「美白」というと、漂白のように「なんでも白くするもの」と思う人がいるようですが、それは間違いです。
メラニンの生成を抑えるのが美白成分ですから、皮膚の黄色みやニキビ痕の赤みなど、メラニンでない色は消せません。
美白成分の種類
A厚生労働省が効果を認めたもの
1.アルブチン
もともとはコケモモから抽出された成分。(チロシナーゼ抑制効果)
2、エラグ酸
イチゴから抽出された成分。(チロシナーゼ抑制効果)
3.ルシノール
北欧のモミの木の成分をヒントにして生まれた成分。(チロシナーゼ抑制効果)
4.ビタミンC誘導体
リン酸型ビタミンCなどの、ビタミンCを肌に吸収しやすい形に変えたもの。
抗酸化作用ももつので、老化予防やニキビの炎症を抑えるのにも役立つ。(チロシナーゼ抑制効果)
5.プラセンタエキス
豚の胎盤から抽出された成分。(チロシナーゼ抑制効果)
6.カモミラET
カモミール(西洋カミツレ)から抽出される成分。
抗炎症作用もあわせもつ。(エンドセリン伝達阻害効果)
7.トラネキサム酸
(プロスタグランジンE2抑制、チロシナーゼ抑制効果)
8.t-AMCHA(t‐シクロアミノ酸誘導体)
(プロスタグランジン抑制効果)
9.リノール酸
サフラワー油などの植物油から抽出される。(チロシナーゼの量を減らす効果)
この9つの美白成分のうちのいずれかを含んでいれば、黄白化粧品として医薬部外品の認可を受けることができます。
要するに、美白の効能をうたえるということになるのです(化粧品は効能をうたうことができませんが、医薬部外品であれば可能です。
ただし、明記してよい効能書きは「紫外線によるシミ・ソバカスを防ぐ」という表現に限られます)。
Bそのほかの美白成分
●油溶性甘草エキス(グラブリジン)
甘草という漢方薬から抽出した成分。消炎効果もあるため、かぶれにくく、肌の弱い人でも比較的使いやすい。(チロシナーゼ抑制効果)
●ハイドロキノン
欧米ではかなり以前から使われていたが、皮膚への刺激性があるという理由で日本では長いこと化粧品への使用が禁じられていた。最近規制緩和によって日本でも化粧品に配合されるようになった。
濃度が高いと若干刺激が出やすい。(チロシナーゼ抑制効果)
そのほか、かきゃくエキス、ルムプヤン、イモニガショウガエキスなど、さまざまなものが使われている